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第四回これが私のバイブル本!「赤ひげ診療譚」グローバルマーケティング部 川口
皆さん、はじめまして東京営業本部の渡部です。
会社員となって2年目ですが、趣味は何かと訊かれたら「小説を読むこと」と答えるようになりました。慌しく過ぎてゆく日々から、静かで孤独な読書の世界へと戻るたび、私は小説を読むことが好きなのだと実感しています。
大学ではロシア語を学び、ロシア文学に親しんできましたが、今回私のバイブルとして挙げたいのはドイツの作家ヨハン・ゲーテの『若きウェルテルの悩み』です。
私のバイブル本はこちらです。
タイトル
「若きウェルテルの悩み」
著者:ゲーテ
翻訳:高橋義孝
出版社:新潮文庫
バイブル本との出会い
何度か繰り返して読んでいる小説ですが、初めて読んだのは高校2年生のときでした。
照れくさい話ですが、当時の私は同じクラスの女生徒に恋をしておりました。
結果失恋に終わるのですが、その当時、鬱々として学校に行く気も起きない私は、ブックオフで小説を買っては川べりに寝そべって読んでいました。
そして、大袈裟に言えば、ウェルテルと出会い、恋の病に立ち向かったのでした。
当時のことはここで詳しくは書きませんが、誰かに恋しているときに『若きウェルテルの悩み』を読めば、素晴らしい読書体験ができるに違いありません。まるで本当に自分はウェルテルであり、ウェルテルは自分であるかのように感じることでしょう。
小説の登場人物と、恋の病に一緒に罹れるわけです。
小説(芸術)は心の友になれる
バイブルとしてこの小説を挙げたのは、単に思い出深い作品だからというだけではありません。人にとって小説は(芸術は)心の友になれるのだということを、私は『若きウェルテルの悩み』のおかげで確信することができたのです。
小説なるものの地位が、私のなかで絶対的になった瞬間でもあったのです。
ゲーテは序文にこのように書いています。
哀れなウェルテルの身の上についてさがせるだけのものは熱心にさがしあつめ、ここにこうしてお目にかけてみる。諸君はきっとそれを私に感謝してくれるであろう。諸君はウェルテルの精神と心根とに感嘆と愛情とを惜しまれぬであろう。ウェルテルの運命には涙をこばまれぬであろう。
また、ちょうどウェルテルと同じように胸に悶えを持つやさしい心の人がおられるならば、ウェルテルの悩みを顧みて自らを慰め、そうしてこの小さな書物を心の友とされるがよい、もし運命のめぐり合わせや、あるいは自分の落度から、親しい友を見つけられずにいるのなら。
引用元:新潮文庫「若きウェルテルの悩み」より引用
最後に
弱冠25歳にして読者に対しこのような言葉を投げかけるゲーテに、脱帽です。
蛇足ですが、『若きウェルテルの悩み』は書簡体の小説です。ロシア文学においても、同じく書簡体小説としてフョードル・ドストエフスキーが23歳の当時に『貧しき人々』を書いています。こちらでは中年のおじさまが生娘に情熱を燃やしております。また、アレクサンドル・プーシキンの『エヴゲーニー・オネーギン』も、『若きウェルテルの悩み』と良く似た点があるように思います。こちらの2作品も私の大好きな小説ですので、併せて紹介しまして、次の方にバトンタッチです。
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