2014-04-10

SWEDEN

こんにちは、業務担当執行役員の樋掛明洋(ひかけ あきひろ)です。
私が住む東京でも、至る所で桜が開花しつつあり、ようやく待ち遠しかった春が来た事を実感しています。春を目前にして、今回は私のこの冬の最大の思い出である、スエーデンへの出張の事を書いてみたいと思いますので少しだけお付き合い下さい。


【出張1日目】
昨年末に、私に初めてのスエーデン出張命令が下りました。
単身での海外出張は通算三度目ですが、やはり正直なところ、少し緊張していました。

出発当日。
成田空港を出発し、約12時間のフライトを経てコペンハーゲン空港(デンマーク)に到着しました。
機内では、電子辞書を片手に一夜漬けで2社分の打ち合わせ台本の英訳版を作成していましたので、
着陸の機内放送で「電子機器の電源をお切り下さい」とアナウンスがあったときには、本当に「あっ!(マズい、もう着いてしまった)」と思いました(汗)。

最初の目的地は、スエーデン中西部に位置するVaxjo市です。
コペンハーゲン空港から列車で約2時間の移動でしたが、空港で約2時間の列車待ちで、ずいぶん遠くへ行くのだと思いました。

電車を待つ間、初めてのデンマーク(空港内のみの滞在です)のコンビニの棚に並ぶ不思議な食べ物やら、空港内を行き交う、旅行者やビジネスマン達を眺めて時間を過ごしていました。さすが、冬の北欧。ダウンジャケットを着ていても、寒かったです。




【現地での初日】2月3日 22:00 気温2℃。
  最初の目的地Vaxjo市駅にようやく到着です。 車窓からは、行けど行けども真っ暗で冷たい景色が続い
  ていたため、ぱっ!と突然街の明かりが見えたときには、無事の到着に安堵しました。自宅を出発してここ
  まで約20時間、明日からのミッションへの気持ちの高ぶりとは裏腹に、41歳の私の腰は既に悲鳴をあげて
  おりました。
  しかし、この移動の疲れが幸いし、ホテル到着後はベッドへ直行、朝まで気絶(熟睡)する事が出来たた
  め、翌日からの疲れや時差ボケの影響は全くありませんでした。当たり前の事ですが、海外出張も日常業
  務でも体調管理、特に睡眠時間のコントロールが本当に重要です。

【出張2日目】(1社目訪問)
最初の訪問は、ウォッシャーディスインフェクターやベッドパンウォッシャーで世界最大規模の生産台数を誇るGD社です。当社が日本で販売している洗浄機Ninjoの更なる機能向上や販売方針などについて、社長はじめ幹部メンバーとのディスカッション後、ファクトリーツアーを行いました。
経営トップをはじめ、製造部門や品質管理部門のスタッフからなる層の厚い組織が、世界中のユーザーの声に熱心に耳を傾け、日々たゆまぬ努力を続けている姿を、現場でしっかりと感じとれた事が最大の収穫でした。


GJN部長と累計販売台数2,000台達成!の記念撮影。 GD 社のすぐ近くの湖の氷上に立つ。対岸まで歩いて渡れそうです。














【出張3日目】Halmstad Hospitalを見学
この日は、GS社の営業担当者J氏の紹介で、スエーデンの公立病院の手術室と中央材料部門を見学させていただく機会を得ました!
Vaxjo市のホテルからタクシーで90分、冷たい雨の降る山道を移動し、Halmstad市に到着。
師長やスタッフの方より、古く狭い施設ならではの運用の工夫点や最新の物品管理に関して、詳しくお伺いする事が出来ました。(やはり、海外の病院見学は面白い!)

手術室の外周廊下からの写真。どこにいても日光が入ってくる建築設計。
病院見学後、親切なJ氏はHalmstad駅の列車を待つホームまで見送って下さいました。
おそらくもう二度と合う事のない者同士。それでも、すぐに打ち解け、楽しく情報交換が出来たことは、国や会社は違えども、同じ医療機器業界で働く者同士の友情と仕事への熱意が、あるのだと感じました。
Halmstad駅から、さあ、いよいよ今回のメインイベントでもあるSilentia社のある、Falkenbergへ列車移動です。



車窓からの何でもない景色なのでしょうが、異国を旅する一人者には心に残る風景です。













16:00頃 Falkenberg市に到着
本日、宿泊予定のホテル前のビーチ。
北欧スエーデンでは数少ない海水浴場のひとつで、夏は25℃位になり、この海岸も賑わいを見せるらしいのですが、只今、約50m先までは完全に凍り付いております(寒)。



【出張4日目】Silentia社 訪問
 SilentiaD社長とは、今回、初めてマンツーマンで、長い時間直接面談できる機会となりました。
    実は前夜、急遽、ホテルに尋ねて来られ、夕食をご一緒しました。
    初めてスエーデンを訪れた私に何か珍しいものをとご提案され、なんと、トナカイの肉(臭みもなくイケまし
    た)のステーキをいただきました。ビジネスの目的が医療現場への貢献である事、家族の事、子供の事、趣味の
    事、生まれ育ったこの小さな街の魅力など、本当に色々な話題について話をすることができ、全てにおいて誠実
    に完璧を目指す仕事熱心なD社長の人柄に感激しました。この時、この会社とは絶対に良いビジネスパートナー
    になれるという確信を持ちました。

 Silentia 社は約30年前に設立された、世界でも唯一の医療用スクリーンのみを製造販売している専門メーカーです。専門メーカーだけに、製品へのこだわりを追求する姿勢は、素晴らしいものです。
会社設立の当初は高速道路などにある防音壁を製造するメーカー(社名のSilentは「静か」に由来)でしたが、D社長の親戚である看護師さんかから、「病院で使われる布製のカーテンに替わるモノは作れないものか?」と相談された事が大きなきっかけとなり、その数年後に清潔で機能的、そしてデザイン製に優れた医療用スクリーンの開発に成功しました。特に欧州では近年、環境からの感染対策に対する急激なニーズの高まりの中、販売実績を大きく伸ばしており、実は既に日本の専門家や感染対策分野のKOLの先生にも知られつつあるメーカーでもあります。
本日は朝から約12時間、製品の説明や工場視察、近隣の病院の見学、そして食事を兼ねたミーティングを行い、非常に多くの事を理解する事が出来ました。実は、弊社はこの会社とのパートナーシップを築くために、長年、アプローチを続けてきました。その大切なパートナーの本社で、製品だけではなく、そこで働く人たちや製品開発の現場を目にする事ができ、この会社の魅力を、さらに理解する事ができました。
今回は、会社からの代表者として、大きな責任感と緊張感を持って訪問しました。とくに、相手の心の中を知り、自分の心を伝える会話にトライし続ける事を心がけていましたが、その結果、D社長の日本市場への期待感を壊す事も無く、良い関係を現場の実務者として作れたという感触をなんとか得る事が出来ました。
この日の夜は、ホテルに帰ってからも、この素晴らしい製品を早く日本のお客様に紹介できるよう、すぐにでも帰国してチームの皆と準備を始めたいという気持ちで興奮し、なかなか眠る事が出来ませんでした。


フィスも美しく、そして機能的なデザインです。特注デザインのスクリーンも製造しています。


隣町のVerberg公立病院にて。病室、ICU、内視鏡リカバリー室など院内の至る所にスクリーンを採用しています。



帰国後すぐに。当社の最初のお客様である私大病院、救急部の初療室、処置室にて。


今回の2社の取引先の経営トップ、関係スタッフの皆様とは短い時間でしたが、私としては非常に密度の濃い良い学びの機会を頂く事が出来ました。
やはり、ビジネスにおいても先ずは相手を好きになり、尊敬する事、その上で、相手の作る製品やサービスの根底にある思いを深く理解する事が、何よりも重要なのだと実感しました。
まり、相手に共感し、共鳴する事が、何にもまして、成功のKeyとなるのではないでしょうか。
「今後も更に、別の国内外の取引先様、ユーザー様とこの様な素晴らしい経験を積み上げていくぞ!」と強く心に誓いつつ、北欧よりも大雪の朝の成田空港に着陸しました。

                                      20143月 樋掛明洋